家庭での勉強でも声に出して発表する。高機能自閉症の発達障害児に効果あり。
家庭学習を子どもにすすめるとき、あなたはどのような声掛けを行っていますか?
早く勉強するよう急かしたり、効率よくすすめるように、けしかけるような話し方をしていないでしょうか。
子供が自分で考え行動するとき。
子どもは自分で考えて行動するとき、他から指図されたとき以上に、脳をフル回転させて行動することが出来ます。自分がしたいことは何か、今何をするべきか、どうやって実行したら良いのか、家庭学習一つをとっても自ら考えて行動することで、物事を建設的に考える力をつけていくことが出来ます。一方的な声掛けではなく、対話形式に切り替えることで、子どもの「考える力」をアップしていきませんか?
高機能自閉症、恥ずかしがり屋の発達障害児。
ミチルちゃんは、恥ずかしがり屋で引っ込み思案な女の子です。勉強は得意で、算数は二年生になってすぐにかけ算九九を全て覚えてしまうほど、自信のある得意科目でした。しかし、積極的に発言することが苦手なため、学校では挙手で発表することも出来ず、先生にさされても緊張のあまり正しい答えを発表できずにいました。
勉強はできるけど、発表はできない。
ミチルちゃんは思い切ってそのことをお母さんに相談したのです。「私は算数が得意だけど、学校では緊張してしまって、うまく発表が出来ないの」と。相談を受けたお母さんは、家庭学習でミチルちゃんに自信をつける方法を実践しようと考えました。
家庭での勉強でも、声に出し、説明し、発表する。
得意な教科の算数のプリントは、問題を声に出して読みながら解いてみること、そして回答が終わったら、どうしてその答えになったのかを、お母さんに説明してみること、これを実行してみたのです。
それまでは、ただプリントを渡して問題を解かせることだけで終わっていた家庭での勉強を、声に出す勉強方法に変えることで、自分の答えに自信を持って発言する力をつけるためでした。そして、勉強の問題をとくだけじゃなく、人に話すことに慣れさせる機会を増やすことが目的だったのです。
毎日の発表練習で、会話する力を養う勉強方法。
ミチルちゃんは、毎日家で声に出しながら問題を解いて勉強することで、人前で話すことに少しずつ自信が持てるようになりました。そして、自分の気持ちを素直に人に伝えることも出来るようになりました。
「声に出す」ことで、自分の考えを整理することが出来るようになり、これを継続することで「会話する力」を養うことが出来るようになったのです。会話力を身につけることで、他者とのコミュニケーションがうまく取れるようになります。ここから、判断力や考察力をつけていくことが出来るでしょう。
親の役目は、子供に勉強のきっかけを作ること。
親が子どもにしてあげられること、それは良い方向へ導くきっかけ作りではないでしょうか。方向を決めてゴールへ連れて行くことではありません。あくまでもきっかけ作りが必要であり、全ての行動に口を出して指図することは、子どもの成長を促すこととは言えないでしょう。
子どもが自ら考えて実行していくことが出来るよう、私たち大人はポイントごとにサポートしていくだけで良いのです。自ら考え行動できる子どもに成長するには、コミュニケーションをとりながら知識を拾い集める力をつけさせることが必要です。
会話の力が、考える力、勉強の力になる。
親子のつながりで「会話」を通して、その力を養っていきましょう。人と会話する力は、知識を吸収し、自分の経験値を上げることにつながります。会話によって子どもは自分の世界を広げることが出来るでしょう。
指示を出して動かすのではなく、会話の中から新しい考えを生み出すきっかけ作りをしていきましょう。