絵を描く、道具を使う。視覚効果の工夫で、文章問題を攻略。
文章問題が苦手な子どもには。
子どもが算数の問題を解くとき、大人が思いもよらないようなところで、つまずくことがあります。
例えば文章問題で、「リンゴが5個、梨が7個、どちらがどれだけ多いでしょう?」、とあったとします。この足し算の問題に子供がつまずいていたとしたら、あなたならどうやって問題の解き方を教えるでしょうか。
ある子供A君がこの問題に苦戦していたとき、文章に出てくる「5」と「7」の数字をなかなかうまく回答に結び付けることができなかったのです。
絵を描くだけでは、ダメだった。
そこでお母さんは「リンゴと梨の数がわかるように、絵を描いてごらんなさい」とアドバイスをしました。さて、A君はどうしたでしょうか…
リンゴと梨の数字がわかるように、リンゴの絵を5個、梨の絵を7個描きました。するとどうでしょう。わかりやすくしたはずの絵が、さらに混乱を招いてしまったのです。
リンゴも梨も、子供の描いた絵では、二つの違いがよくわからなくなってしまったのです。
記号を使うと、わかりやすい。
お母さんは次に、「リンゴには○印を、梨には△印をつけてみたらどう?」とアドバイスしてみました。するとA君は、○印を5個と△印を7個描いて、○と△の数の違いを理解することができました。
A君は、リンゴと梨を○と△の記号に置き換えることで、視覚的にとらえて問題を解くことができたのです。
このように、大人にとっては簡単な問題であっても、子どもは些細な点に引っかかり、答えを出すことができなくなってしまうケースがあるのです。
「子供がわからないところがわからない」という場面に遭遇した時は、まずは問題を視覚的にシンプルに説くための道しるべを伝えていくことが、最も効果的と言えるかもしれません。
道具を使うと、もっとわかりやすい。
絵を描かせて、思考回路をクリアにすることができない場合は、いったいどうしたらいいのでしょうか。
描いたり消したりを繰り返すうちに、子供のやる気が失われてしまうかもしれません。この問題を回避するために有効なのは、マグネットや積木などの、数を数えやすいアイテムを使用する方法です。
実際に、問題に出てくる数字と同じ数だけ、マグネットを並べさせます。そのマグネットに文章問題に合わせて、新たに数を増やしていったり、減らしていったりしながら、目で見るだけでなく、実際に手を使って数を体感させることが重要になってきます。
わからないことを、何度もやらせるのは、子どもも苦痛です。
学校や塾などの場では、子どもが完全に理解する前に、たくさんのプリントで、問題を解くトレーニングが開始されたりしませんか?
理解しきれていない子どもにとって、トレーニングの開始は苦痛であり、苦手意識の増幅につながってしまいそうですね。
こうなる前に、まずは家庭学習で、子供が数字に慣れていくための、導入部分を作ってあげましょう。
文章問題では、とりあえず数字に着目。
長い文章では、いったい何が大事なキーワードになっているのか、子どもには、それを見つけることは、難しいかもしれません。
何が何個あるのかを、文章を読みながら記憶しておくこともまた、難易度が高いのかもしれません。
そんな時はぜひ「文章の中から、まず数字に着目すること」、そして「その数字がいくつあるのか、わかりやすい目印をつけること」をアドバイスしてみるのはどうでしょうか。
できない子どもに、がっかりする前に、視覚的工夫を。
文章問題を読みながら、頭の中で映像に置き換えて問題を解いていくやり方が、すべての子供にとって容易であるとは言えません。
読んでも読んでも、問題が聞いていることの意味が、分からない子どももいるでしょう。
もしかしたら、文章を読む前から答えを考えてみることを、諦めてしまう子どももいるかもしれません。
印のつけ方や道具の使用によって、文章を頭の中で整理する方法を身に着けさせることが、できるのではないでしょうか。
子どもの「わからない、やりたくない」にがっかりしてしまう前に、ちょっとした視覚的工夫をしてみましょう。