大きな壁を乗り越えるために、小さな壁を何度も乗り越える成功体験を積み重ねる勉強方法。
新しい勉強課題に取り組むことに拒絶反応を示すわが子は、習って理解した事に関しては、頑張れるけれど、少し勉強内容が難しくなったり、見たことがない問題を見た途端に、「知らない」「出来ない」と逃げ出そうとしてしまう子でした。算数でも繰り上がりが出てきた時や、二桁になった時や、掛け算になった時なども、同じように壁にぶち当たりました。
大人にしてみれば、なんてない壁に思えましたが、わが子にしてみれば、とてつもなく大きな壁が立ちはだかっているように思えたようです。
発達障害のため、生活のことも覚えるのに時間がかかりました。
でも私はそのわが子を見ても、あまり焦りはありませんでした。というのも、その傾向は今に始まったわけではなく、小さな頃からそうだったからです。
着替えや、トイレトレーニング、箸やはさみの使い方など、思い起こせば他の子よりも、うちの子は倍以上の時間がかかって習得してきました。
一度言えば、さっと理解して取り組める、呑み込みの早い子と比較してしまって、わが子の出来ないことばかりが目について、不安な日々を過ごしていました。
他の子と比べても無意味、時間がかかっても必ずできるようになると信じる。
でも、毎日の子育ての中で、私自身も少しずつ母親へと、成長させてもらったのでしょう。誰かと比較することが、いかに無意味であることに気づきました。今まで、ネガティブにわが子が出来ていないことばかりに、とらわれていたけれど、反対の発想で考えられるようになった途端、気持ちが楽になったのです。
この子は、いろんなことを習得するのに、人よりも倍時間かかるけれど、小さな経験を積み重ねれば、必ずクリア出来る子なんだ。ということを、子どもが出来るようになることが増えるにつれて、教えてもらったのです。
だからこそ、勉強で壁にぶつかる姿を見ても、一緒に乗り越えてやろうと前向きでした。
いきなり高い壁ではなく、まずは小さな壁を乗り越えること。
まずは、目の前の勉強の目標をクリアできるように、取り組むことから始めました。目標がいきなり初めから高いと、親子で疲れてしまいます。
でもそれが小さな壁であれば、何となくできそうな気がしてきます。
わが子のペースに合わせた、亀の歩みを心掛けることにしました。必ず出来るようになると、信じる気持ちで頑張りました。
かけ算九九も、ひとつずつ丁寧に焦らず、ゆっくり勉強していきました。
2年生で掛け算の九九が出てきた時のことです。1の段、2の段と初めは順調にきましたが、段々と難しくなり予想通り、壁にぶち当たりました。
九九を全部マスターするという目標は、わが子にはあまりにも大きいものだったのです。一気にマスターさせようとすると、失敗するのはわかっていたので、ひとつずつの段を、丁寧にゆっくり進めていきました。得意な段が、すらすらと言えるようになると、たくさん褒めるようにしました。欲張って次の段もやろうと、言いたい気持ちを抑えて、出来たという達成感で、勉強課題を終わらせることも気を付けました。
繰り返し反復を続けているうちに、覚えて自信をつけはじめると、今度は自分から、今日は4の段もやってみるなどと言い始めました。このときは本当に嬉しかったです。
小さな壁を乗り越える、成功体験を積み重ねること。
子どもの意欲を引き出すまでは成果が見えず、亀の歩みが歯がゆくて、辛かったのですが、それでも必ず前に進んでいることを、時間が感じさせてくれました。
九九をマスターするのに、友達の倍以上の時間はかかりましたが、努力した結果、今ではすらすらと言えるようになっています。
親も根気が必要ですが、途中で投げ出さず、必ず出来ると信じてあげることが、良かったのだと思います。
これからも、わが子にとって壁となるものに出会うでしょう。でもその時も乗り越えられた成功体験を積み重ねていこうと思います。